FCPを仕事に使う。
いよいよ計画を開始したわけでした。
後になって思い返してみると「そんなこた考えりゃ予測できただろ?」という事も、いろいろな事情や心理状態、能力の限界などなどにより、その時は「わかんない」場合ってあると思います。とにかくまず実践してみることの重要性がそこにあるし、実践のともなわない理屈の無意味さもそこにあるのだと思います。その事を痛烈に実感したのが初期のFCP作業でした。
初期のワークフローは、DVCAMで撮って、FCPでブロック素材をつないで編集室に入って、カンパケ。
しかし、実際にやってみると、この方法では、せいぜい数時間圧縮できるだけで、たいして効率化しないんですよね。やってみてわかった。
僕の計画では15時間ぐらいかかっていた作業が数時間に、つまり1/3ぐらいにならないとちょっと目標には未到達。
考えて見れば、編集スタジオで時間がかかるのは、特殊効果だったり、テロップ入れなわけですよ、それ以外が効率化してもあんまり効かないわけで、当然の結果
なのでした。どうやら、デスクトップで納品可能クオリティの映像がハンドリングできたというだけで浅はかにも舞い上がっていたようです。PCを使った作業で陥りがちな事態です。FCPで手間がかかっている分だけ「損」してるじゃん、という感じでトータルの収益性は、時間や手間を考えるとむしろ悪化しています。
となると、FCP上でどこまで完成に近づけるのかがやはり勝負ということになります。
しかしながら、このころのFCPは、「完成させる」つまり、編集スタジオと同じ事をやらせるという点でみるといくつかの問題がありました。
ひとつはテロップです。
このころのFCPでは、一般的な「白抜き黒エッジ」のテロップを入れる事はできませんでした。ドロップシャドウはつくのに、エッジがつかなかったんです。
方法としては、いちいちフォトショップでテロップを作ってスーパーインポーズするしかありません。しかも、フォトショップでエッジをつける時に使う「レイ
ヤー効果」をFCPでは解釈できないので、読み込む前にラスタライズする必要があります。これは「直し」を考えると不便と言わざるをえませんでした。
そのうち、フリーの「縁つきテキスト」というプラグインが手に入るようになり、若干状況は緩和したものの、ポスプロでの入れるテロップと比較してキレはいまひとつ...。
それと、さらにイマイチだったのは、トランジションのディゾルブです。ディゾルブ(オーバーラップ)はもっとも使用頻度の高いトランジションですが、これの出来がめちゃくちゃ悪い。ディゾルブの途中で明度が下がってしまい、なんというかフェードぎみにOLするというか、そんな按配でした。
これについては、トランジションのプラグインを使わず、不透明度をキーフレームでアニメーションさせる、といった手法で回避ほかありませんでしたが、これだとクリップ全体にレンダリングかかっちゃうのでトランジション分を切り離して、など、手間がかかります。
そんなこんなで、なかなかカンパケクオリティが出せない状態でいろいろ苦労するうち、FCPは2にバージョンアップ。
ディゾルブの問題に関しては、このバージョン2で一応解決されてひと安心したものの、テロップに関してはまだぱっとしない状態が続きました。
日本の映像制作ではテロップがかなり重要な役割をはたしていますが、これをアメリカ人の開発者が理解できないからだ、なんていう話もささやかれたり...。
バージョン2には、縁つきテキストと同じ機能を持つ「アウトラインテキスト」ジェネレータが追加されたのですが、やはりどうも、キレはいまひとつ。また、
今のタイトル3Dの前身にあたるジェネレータが付属するようになったのですが、この時点ではまだ日本語の認識ができず、実用性はやっぱりいまひとつ。相変わらず、ガマンしてジェネレータでテロップ入れるかフォトショップ作業に頼るかしかありませんでした。
これ以外にもジャギーの問題とか、編集上がりに「パソコンっぽさ」がにじみ出てしまう局面がいくつもあり、試行錯誤しながらダマシダマシの作業をしていました。
FCP2になってからは、トランジションつきほぼ完成尺のブロック素材に、凝ったテロップ以外(いわゆる下位置テロップ)をいれた状態でスタジオに持ち込み、カンパケしていました。
この方法で、一応、やっと計画に近い編集スタジオ費の圧縮が実現して、僕の収益性も改善してきたのですが、クオリティに関してはちょっと微妙というか、なんか、どこがどうという事もないんですが、プロダクションもクライアントもOKなんだけど、なんていうかな〜、なんか違うね、という感じが続いていました。
まーいろいろありつつ、しかし、もっとも重要な問題は、実のところ、オペレーションする僕のアタマの中の問題だったんですよね〜....(つづく)。
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