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2008年12月23日 (火)

効率のはなし

仕事をする上で「効率」はとても大切です。
効率を勘案しない現場はすぐに飯場化してすさんでくる。

映像制作ってもともとそんなに効率よくこなせる類のものじゃなかったんですが、このところ、デジタルな手法が定着したことで「効率化」の追求ができるようになりました。
たとえば、スタジオに入らなければできなかった編集作業がデスクトップでできるようになったりして、安くなって早くなった。
この効率化の効果は大きい、と同時に使い方をあやまるとちょっと困ったことになりかねません。

前にも何かのエントリで書いたような気がするんですが、このデジタル化による効率化の問題点は「作業効率が限りなく良くなる(スピードアップしてしまう)」という事それ自体だと思います。
効率が良くなり、作業が早くなると、周囲の状況はそのスピードを織り込んでさらに効率を求めてきます。これが人を不幸にする場合が往々にしてあるんですな~。僕も一時期その手の不幸に見舞われかけたし、実際見舞われてヒドイ事になった人も目撃しています。

そこで思うのは「効率」には二面性がある、という事です。
ひとつは、上記のような「スピード」を求めてする効率化で、工場のものづくりの現場で行われているようなイメージ。
もうひとつは「快適さ」を求める効率化です。
映像でいえば、編集途中の試写のレスポンスや、修正の柔軟性とか、あるいは仕上げ作業をより入念に行うための環境を整えるとか、そういう作業全体の見通しの良さや作業環境の快適性を求めてする効率化。結果作業クオリティアップにも貢献します。
この後者の効率化は、関係者全員が恩恵を受けられる「幸せになる」効率化だと思います。
何かが滞っていた部分のムダを廃して物事がす~っと流れるようにしていく。
そしてこの「効率」はスケジュール表とは別のところで成立するものです。
ここを意識的にとらえて効率化をしていかないと、いつの間にかスピードだけがどんどん速くなってクオリティも落ち、気がついたら知力も体力も使い尽くしていた、なんてことになりかねません。
快適に仕事をするために、もっといえば「ラクになるために」効率化を考える、というのは大切な視点だと思います。

そういう意味では「効率」をどうとらえるか、実際に作業する人間ではなく、それをマネジメントする立場の人間の役割がどんどん重要になってきているような気がします。
マネジメントしだいで現場は地獄にも天国にもなるわけですから。

と書いているうちに、この事とは違いますが微妙にリンクする話を思い出しました。
先日、うちの制作職人のT氏とミーティングをしていて、こんなような話になったんです。
彼がいうには、こんなデジタル化した時代だからこそ、ものづくりの周辺部分、プロデュースや進行はアナログ時代のセオリーをきっちり守ってやらなきゃいかんのですよ、とまあ、こんな話なんですが、まったくもって同感です。
デジタル化で作業スピードがあがっているぶん、そのあたりはかつてよりも、丁寧に、念をいれてやるべきなんですよね。
「どう効率化するのか」も含めて、しっかりしたマネジメントの重要性がどんどん増していると思います。

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コメント

自分はフリーのDですが、効率化とマネジメントは最近とても重要なキーワードになっています。
昔ほど予算がつく仕事が少ないので、我々のギャラ単価も下がり、どんなに一生懸命働いても年間の売上げは知れています。
もうこうなると生産性を高めるしかない。と最近あらためて思い、特に編集作業以外のライティングの生産性アップや、ミーティングの効率アップを図るようにしています。まあ、短時間で集中するとか、まだまだその程度のものでしかありませんが。
あとは基本的には自分は「急がば廻れ」をモットーにしています。
曖昧なまま作業を進めずに、ある程度時間をかけても、その都度答えを出すようにしています。たとえば、ソフトの機能の使い方とか、なれないショートカットも無理して使うとか、中長期スパンで見れば、みるみる作業効率は向上するはずです。
これは「知識」や「ノウハウ」も同じですよね。

千崎さんの仰るとおり、ノンリニアの恩恵は、ともすると諸刃の剣です。納期に対してのクオリティにしても、修正対応にしても、ノンリニアやデジタル化が本当に僕らを幸せにしたとは今のところ思えないんですよね。千崎さんのいう「ラクになって」ないというか、あまり「幸せになって」ない感じがします。
加えて、代理店が機能を果たしていないところが最近は多いですから、制作会社に火の粉が飛びます。クライアントとのミーティングもブリーフィングもなく、情報も的確におろさない、それでいて映像のことをてんで分かっていないところが本当に多いです。結局、コンセプトがずれたまま製作し、変な修正に及ぶ。こちら側の提案も聞き入れられない。こうした仕事、皆さんも経験あると思います。
「ものづくりの周辺部分」を丁寧にしっかりとやるというのは相当重要な気がします。それができれば自ずと効率もアップし、生産性もあがるのではと考えています。代理店を教育するわけにはいきませんから、その辺をどう解決していけるか制作会社のスタッフと現在模索中です。

スタッフ全員が「幸せ」になる仕事のスタイル、はやく確立したいですね。

投稿: Dan | 2008年12月27日 (土) 05時17分

Danさん。
共感します。
小さなパイからどう収益をあげるか、と、一番コストが高い「時間」をどう有効に使うか、ですね。

>代理店機能不全
ほんとにねえ〜、いつからこうなったんですかね。
ぼくら現場が自分たちの作業環境をアレコレいじっているうちに、ふと気がついたら、川上がすっかり機能しなくなっていた、的な。
大丈夫かな、この業界、と真剣に思います。

投稿: 千崎 | 2008年12月29日 (月) 17時38分

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