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2013年8月29日 (木)

別れる理由 -さらばFCP-

2000年か2001年に、AppleのFinal cut proのバージョン1.26を買ってからというもの、このソフトはまるで僕の体の一部みたいによく働いてくれました。銀行で50万円おろして、六本木のフラッシュバックにマシンとソフトを買いに走った暑い日のことは今でもよく覚えています。
今日、僕が映像業界で食べていられるのも、FCPというソフトがあったからだ、といっても決して過言ではありません。もう、恩人といってもいいでしょう。
かつて、愛ある解説本もかかせていただきました。


しかし、1円かあ...(笑)

バージョンアップには、6まで付き合い、そこでリーマンショック、んー、かねないしちょっと今回は見送るか、となり、でもすぐに次期バージョンの噂が聞こえてきて、じゃあ、8が出たらバージョンアップするぞ、と考えていたのです。

で、いよいよFCP新バージョン登場!
でも、そこに現れたのは、見知らぬ女。君、誰?
FCPの最新バージョンは、Xと言う名の、全く見も知らぬ別人だったのです。

で、んー、じゃいいや、とそのままFCP6を使い続けて、つい先日のこと。
いよいよ、マシンも古くなってきたし、OSのバージョンアップとともに、FCP6ではいろいろと不都合が出てきたので、しょうがない、マシンごと編集環境をリプレースするか、という事になり、FCPとの別れ話が持ち上がったのです。
素材も最近はAVCHDが多くて、Snow leopardとFCP6という環境では、ちょっとやりにくくなってきたし、というのもあってWin環境も視野にいれつつ検討がはじまりました。

最初に検討したのは、もちろん、FCPXです。OSがMountain Lionであれば、AVCHDはネイティブに走るので、最低限の要求はみたしてくれるはず。マシンも、一杯にメモリを盛ったiMacとかPB15インチとかを買っとけばいいから、頭をつかわなくて済むし。
問題は果たして編集環境として使えるのかどうか、という。
ご存知のように、FCPXは既存のFCP7系ユーザーからは、悲しいかな総スカンを食っているソフトです。でも、「意外にこれ、いいんだよね~」と言って使うのもちょっとかっこいいかな、などと。

で、実際に体験版をインストールして使ってみると、たしかに、意外にいいんだよね~これ。キーヤーもよくできているし、色補正もちょっと癖があるけど良い感じだし、iMovieライクなタイムラインのインタフェイスも、僕はきらいじゃない。
ネストした素材を折りたたんでタイムラインに格納するインターフェイスなんてよく出来てる。使い勝手はだいぶ違えど、従来のFCP7でできることは、おそらくなんでも(多分、それ以上のクオリティで)できます。これはおすすめです。

しかしながら、好感触を覚えつつ、どうも、編集環境をこれに託してしまっていいのか...という感じがしたのも事実。

結局、FCPXを導入するにはいたりませんでした。

これはほんとに私見というか個人的な感想ですが、確かに今までのノンリニア編集ソフトが血肉となっている層(僕もふくめて)にとっては戸惑うソフトであることは事実でしょう。
FCPXは、FCP7から比較すると、あらゆる面でスムースな作業が出来、効率が良さそうにみえますが、でも、あるソフトを使いこなしている人間にとっては、実はそういう効率性はあまり重要な要素ではありません。FCPXのマグネチックタイムラインは、確かに効率的ですが、それがなくても、そんなに効率が悪いわけではないのです。

なんというか、このFCPXは、今までの編集での「あたまの使い方」に変更を迫るってくる可能性があるな、という、なんとはない不安感があります。
僕らは、別に効率よく編集するのが仕事ではありません。企画して、構成して、撮影して、何か意味のある、あるいはお金になるものを作るのが仕事であって、編集はそのプロセスの一つです。変なタイミングでそこにあたまを使いたくないんですね。

結局、今まで使っていたFCP6になるべく似た環境がベストバイということになります。

で、問題の我が社の編集環境ですが、結局、アドビにしました。
Premiere CCは、現在ある編集ソフトの中で、もっともFCP7ライクなソフトだと思います。FCP8がもしあったとしたら、ひょっとして、Premiere CCのようなものだったかもしれない。FCPがいやになったというより、FCP愛があるがゆえのPremiereの選択です。

アドビにするなら、Macである必要もないや、という事で、マウスコンピュータで、バキバキにカスタマイズしたWinマシンとともに導入したのです。さよならFCP、さよならMAC。
もともと、FCP(7)系の、ともかくなんでもソフトウェアで処理して、貧しいマシン環境でもそれなりに働いてくれる設計姿勢には大きな共感を覚えていて、FCPが好きな大きな理由もそこにあったのですが、まぁ、仕事で使うので、楽な方=マッチョなPremiereにながれました。オリジナルの映像フォーマットを気にすることなく、なんでもかんでもハードだのみで平気な顔で再生できる、レンダリングできるのは、やっぱりラクですねえ。確かに。

この話には、実はもう一個オチがついていまして、Creative CC用のマシンを発注した翌日、偶然にもPremiere本の執筆依頼が舞い込みまして、以前書いたPremiereCS5の逆引き辞典の改訂版なのですが、来春出版予定でございます。なんか、こういうちょうどいい偶然、気分いいですね。というか、こういうことってあるんですよね。

使い方によると思いますが、Adobe CC、年間63000円というのは、安いような気がするのですが、どうですかねえ。僕は、ほぼaiデータをPSDに変換するためだけの用途で8万円もするイラレCSを持っていますが、そういうのも込みでその価格ですから。
Premiere CC単体なら月に二千円。

ちょっとだけ、フォントの問題とかあるかなぁ(Winなので)。
あと、以前はFCPとセットでSoundTrackProを使っていましたが、Adobe CCだと、その位置にあるのが、Auditionというソフトなんですが、この実力がいまひとつまだ分からないんですよね~。まあ、おいおい判明するでしょう。
最悪、環境をまたいでSoundTrackProを使う、というのもできなくはないし。

というわけで、というか、んー、もう少し言っておこう。
今回、FCPを降りたもう一つの理由は、Appleがもう、プロ用映像編集という市場に興味なくなったのかな、という感じがなんとなーくするから、というのもあります。
FCPXのバージョンアップのペースをみてもちょっとにぶい感じだし。しばらくしたら、シェイクやロジックが消えたように、FCPXも消えちゃうかもな~、という。

こうなったら、FCP7系をオープンソースにして開放して欲しいですね。Blenderみたいなオープンソースソフトウェアになったら、世界中に沢山の支持者が生まれ、Appleにもリスペクトが集まると思います。
BlenderとFCPがあれば、CG映画、無料で作れちゃうじゃん、という状況になったら、かなりすごいことになると思います。FCP7さえあれば、音の編集やミックスも含めてかなりのことができるので。
そうしたら、僕も、両手をあげてFCPをもう一度抱きしめちゃうんだけどな~、むりかな~。

(FCPXは趣味で購入はするかも...しれません)

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コメント

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投稿: sacs port茅 main burberry | 2013年9月17日 (火) 18時12分

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