放射能

2012年2月12日 (日)

エステー家庭用放射線測定器 エアカウンターS

気がつけば、これが今年最初の投稿ですね。本年もよろしくお願いいたします!

昨日のことですが、楽天のとあるショップに注文していた、エステー&タカラトミーの家庭用放射能測定器「エアカウンターS」が届きました。
注目の製品ですし、取り急ぎ、レビューを書いてみたいと思います。

■線量計、必要だなと思ったワケ

購入の理由はふたつあります。
ひとつめは、福島第一原発の事故がまだ収まってなくて、いつ放射能大量放出という事態になるやもしれないから。
野田さんの終息宣言に関連なく、いまだに、漏水やら、水処理の停止やら、原因不明の温度上昇などバタバタしています。これで大きな余震(数年は要警戒だそうです)が起こって、ただでさえ壊れている原子炉が倒壊でもしたら...というのは、別に考え過ぎでもなんでもなく、普通に起こりうる危機だと思います。しかも、日本列島の地下は地震が起こりやすい状態になってしまっています。
一番避けたいのは、福島第一原発がなんらかの原因で倒壊したり、あるいは別の原発が過酷事故を起こして、放射性物質が大量放出され、自分の住む東京も避難せざるをえなくなった場合...。
タイミングを誤って、逃げ出したとたんに放射性物質来襲、ひどい被曝、という事になるやもしれません。そういう時に、手元の線量計が頼りになると思うのです。

もうひとつは、3月に大量降下した放射性物質がこの時期になって、環境になじんだり、風で移動して吹きだまったりして、高い線量の場所が身近に出現しているに違いないからです。しかも、その場所は風や雨水によって、移動します。なので、ちょこちょこ生活空間を計測した方がいいと思うんです。
もうすでに「放射線のある環境」に生活しているので、温度計で気温を測るように、地味に気にする必要があるでしょう。
放射能は目に見えないし、ニオイもないので、あの原発事故で自分の生活空間がどんな風に変化したのかを知るには、自分で測ってみる以外にはないですからね。
温度や湿度みたいに、放射線も一応、実感として分かっておきたいわけです。

■で、エアカウンターS

製品の概要をまず書いときます。

・計測方式:半導体方式(シンチレーション方式ではないしガイガーでもない、これが安い秘密?)。
・測れるもの:空間のγ線のみを計測してマイクロシーベルト(毎時)で表示。γ線のみなので自治体などの計測値と比較しやすいです。
・検出範囲:0.05マイクロシーベルト(毎時)~9マイクロシーベルト(毎時)、誤差±20パーセント。
・計測時間:最長2分間。
・付加機能:アラーム・平均値算出・ストラップ取付け穴あり。
・電源:単三電池1本(60時間駆動)
・定価:7900円

外箱。1台はカミさんに。
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中身。一応電池一個ついてきます。
監修者(後述)が書いた、家庭における放射線防護の基礎知識、的な冊子もついてきます。
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手にした感じ。デザインはまるで体温計か、簡易血圧計みたいな顔です。体温や血圧を気にするように、放射線も気にする、という世の中になってしまったんだな、と思います。
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■使い方

使い方はカンタンで、電池入れたら、側面にあるスライドスイッチをオンにするだけ。
まず、画面に35秒間のカウントダウンが始まります。
そのあと、速報値的なものが10秒ごとに表示され、測定が終わって確定値がでるとその値が点滅表示されます。計測の時間は最大2分です(高線量であるほど短いらしい)。
で、そのままほうっておくと、直近1分間の平均値を10秒ごとに表示し続けます。これ、結構良い機能だと思います。ログをたどれるようだともっといいと思いますが、この値段でそこまで要求するのはムリなのかも。

RESETと書かれたボタンを押すと、続けてもう一回計測をはじめます。

SOUNDと書かれたボタンを押すと、アラームがオンになって、放射線を検出するたびに「ピッ」という小さいブザー音が鳴ります。
放射線の検出の確認は液晶画面でもできて、検出のたびに数値の右横にドット(点)が表示されます。ただし、これ小さくてわかりずらい。

とまぁ、だいたいこんな感じのものです。

■測定してみた

で、さっそく、自宅で測ってみました(板橋区マンション二階)。
結果は、測る度にばらつきますが、だいたい、0.08〜0.12マイクロシーベルト毎時ぐらいかなぁ。
区が出している速報値が0.1マイクロシーベルト(毎時)ぐらいなので、だいたい似てますね。
測ってガイガーでの測定値報告とも矛盾しません。「測ってガイガー!hakatte.jp

同じ場所で連続して測ってみると、0.05マイクロシーベルトぐらいの振れ幅で値が変わります。
例えばこんな感じ。
1回目 0.08(マイクロシーベルト/時 以下同)
2回目 0.10
3回目 0.06
4回目 0.12
5回目 0.07
5回平均→ 0.086
上のピークと下のピークの差が0.6あります。これを眺めてざっくりした感じで思うに、2回測って平均出すとだいたいよさそうかなぁ、という。

そもそもそこにじいっとあるモノの重さや長さ温度を測るわけではなく、自然現象の頻度をしかもごく小さなセンサーでカウントしているので、正確性を求めるなら何度か測って平均をだすほかないようです。一回だけ測った値を他の人に教えるのは、ちょっと不安な感じがします。誰かに報告する計測なら何度か測るべきかなと思います。

ただ、当面知りたいのは、放射線量の「だいたいの傾向」なんですよね。いつもより高そうか、低そうか、安全圏の中なのか、ちょっとヤバそうなのか、想定している範囲に収まっているかどうか、といった判断材料を得たい。この目的からするとそこそこ働いてくれそうな気がします。

測った値の解釈例はこんな感じで。
これまで、うちの室内で測った値で一番高いのは、0.16マイクロシーベルト毎時だったんですが、この値を取った場合、年間の「外部」被曝量は、1.4ミリシーベルト程度(超単純に、計測値×24時間×360日÷1000)。
そして、ここによると→http://eneco.jaero.or.jp/important/radiation/radiation04.html、東京では、自然放射線量が年0.9ミリシーベルト程度ということなので、その差額で、年に0.5ミリシーベルトの余分な被曝という事になります。

で、国際放射線防護委員会(ICRP)の定める一般人の年間被曝許容限度は、「自然放射線を除いて」年間1ミリシーベルトなので、うちの計測値「0.16マイクロシーベルト毎時=年に1.4ミリシーベルト=自然放射線以外が年間0.5ミリシーベルト」は、許容限度の半分なので、まぁ、安全じゃん、と。

このICRPの年間1ミリシーベルトに東京の自然放射線、年0.9ミリシーベルトを足すと、1.9ミリシーベルト、これをマイクロシーベルト毎時になおすと、0.2程度。つまり、ICRPに準拠するとすれば、0.2マイクロシーベルト毎時程度あったら、ちょっとまずいかも、ということですね。

エアカウンターSの表示の値には、予め、±20%の誤差が含まれているし、そのあたりも勘案すると、この計測器の東京での読み方は、ざっくり「0.2が出てなければ大丈夫」と判断し、測定値のばらつきから、「検出限界=0.05や、0.2越えなど見慣れない値がでたら再計測して平均を出す」というような、感じなのかなぁ、と今のところ思っています。あるいは、「0.06〜0.15ぐらいだったら、だいたい0.1程度と解釈しちゃう」とか。
あと、測定を開始して、そのままにしておくと、直近1分間の平均値を算出し続ける(1時間)ので、しばらくほうっておくと、比較的正しい値に補正されていきます。
もっとも、低価格の測定器では、低線量下ではあまり正確な値はでないという話なので、やはり、上がっているか下がっているか、範囲に納まっていそうか、みたいな、傾向を測るモニターという使い方なんだと思います。

ネットをめぐると、やはり、測定値にばらつきが大きい、複数測って平均値を取ると信頼できる、的なレビューが多いようです。値段相応の性能だけど、まぁ使えるよ、的な感じ。

他機種との比較評価記事→http://aircounter-radex.seesaa.net/article/251228528.html

これから、色々比較記事が出まわると思うので、しばらく注目したいと思います。

■監修者

で、この製品には、もうひとつ物語がくっついているようです。
それは、開発に際して監修をおこなった先生が、一部ネット上で原子力業界御用学者と認定されているところ。ネット上には、反発するコメントもちらほら目にします。
監修者は首都大学東京大学院教授の福士政広氏。
こんな人。→http://www.tmu.ac.jp/stafflist/data/ha/732.html

結構中立的な論評(僕も似たような印象を持っています)→http://blog.goo.ne.jp/knagato1/e/5307456e46dffb78c2423ab0b8eaafe5

怒ってる人もいます。→http://www.zenshin-s.org/zenshin-s/sokuhou/2011/08/post-1230.html

Twitterで検索するとこんな感じ。あんまり盛り上がってないですね...。→https://twitter.com/#!/search/realtime/%E7%A6%8F%E5%A3%AB%E6%94%BF%E5%BA%83

どうも、テレビで「年100ミリシーベルトはゼッタイ安全」的な発言をしたのが、御用認定の原因らしいですが。

僕が思うに、芳香剤の印象が強いエステーとゲーム会社のタカラトミーが作った放射線測定器なので、リリースするには専門家の監修がどうしても必要だったと思うんですよね。しかも、最初のシリーズはかなり実験的な製品化だったと思うので、使い勝手やコスト面でちょうど良かったのがこの先生だったのかな、と、冷静にみてます。

ただ、この先生が監修した、製品付属の小冊子には思う所があります。
内容的には、特に意図的な誘導も感じなかったし、かなり中立的な立場で書かれている印象でした。ただ、Q&Aとして書かれている生活の注意点などは、あくまで、東京のような薄い汚染の地域を対象にした内容で、福島のように高濃度の汚染があるところでは、まったく事情が変わって来ると思います。こういう広域に販売される製品に添付する場合は、その事に対するエクスキューズを添えるべきではなかったか...と。

■かなり象徴的な製品

このエアカウンターSは、放射線測定の激安ソリューションで、それ自体は歓迎すべきだと思います。
もっと、子供にもたせる用やお年寄りでもわかりやすい用、アウトドア愛好家用の防水処理されたもの(これ欲しい人多いんじゃないかな〜)など、同じ設計から派生させた製品もあっていいかな、と思います。

で、つくづく思うのは、こういう、カジュアルな放射線測定器が必要なニッポンってどうよ、と。
どうしてくれるんだ東電、政府!と、ちょっと心のもやもやが発生する製品でもありますね。

アマゾンでのいまんとこ最安値。もうこんなに安く...。

エステーのエアカウンターPRサイト

http://www.st-c.co.jp/air-counter/

価格コムのレビュー記事。

http://magazine.kakaku.com/mag/kaden/id=669/

■追記

今後の展開として、ユーザー同士をSNS化して、GPS携帯とWebでみんなの測定値を共有しあうようなサービスが予定されているらしいです(現在サービス延期中...)。
ホットスポットは日々変化するので、交通渋滞や天気を報告しあうみたいに、リアルタイムホットスポットマップができていくのかも。
http://www.st-c.co.jp/topics/2011/000411.html

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